ミノリの盤上遊戯録

ボードゲームあそびます。

【ふるよに】シーズン8-2更新カード評価②

前回の続きになります。

 

Aクルル:らすとりさーち

消費+1 相伏せ札0枚のとき1枚伏せさせる

再起の代わりに全力カード、再構成で使用可

 

らすとりさーちを軸にしたデッキはいくつか存在し、とくに橇機器のウパどれりさーちなどが有名な例です。しかし三柱単位で強い組み合わせには欠けるということ、またらすとりさーち自体フレア1と再起条件の関係からあまり回数を稼げないということ(現環境が高速化していることから使えてせいぜい4~5回が限度でしょう)からギャンブルとしては分が悪い勝負であり、ぐらんがりばーを得てもリターンを十分に得られない、という脆弱性がありました。

しかし、Bakafireさんが述べている通り、ゲームとしてみると相手の構築から伏せてあるカードを読み、それをうまく「発見」してクルルらしいぶっ壊れリターンを得るという体験は成功であり、かつこれだけ強力な効果を持っていて今まで問題を引き起こしてこなかったという点はデザイン面でも優れた評価を与えるべきデッキであると思います。

 

今回の改訂により、機器は相手伏せ札の生成、全力カードでの使用権を得ました。単純にらすとりさーちでのクイズが必ずできるようになったことももちろん大きいのですが、全力カードの使用にも使用権が乗るため試行回数が以前にくらべかなり増えることになります。これが実用的な水準であるかは実際に環境に突っ込んでみないとわかりませんが、トコヨの「要返し」、ハツミの「準備万端」など防御寄りの全力カードで遅延を入れながら、強切り札を持つメガミでぐらんがりばーのリターンを確保することや、従来のびっくごーれむに寄せた構築で使用するなど、りげいなーとの組み合わせによりデッキの構築幅がだいぶ広がったように感じます。おそらくクルルの調整にはバランス調整チームも苦労したでしょうが、その苦労が報われるのか、次の環境が楽しみです。

 

ライラ:風雷撃

適正間合が1-2に変更

 

ミノリちゃん:ほら言ったじゃん風雷撃に絶対バフ入るって(ドヤ顔)

 

風雷撃の適正間合に1が追加され、ステップ対応への耐性が強化されました。

前編で述べた通りOライラを採用する理由が現環境には皆無と言ってよく、その理由としては

①剣、鋸の登場による相対的な火力不足

②①に伴いステップ対応持ちメガミ(算盤、傘)の増加

③環境の高速化によるゲージ不足

④Aライラとの差別化が困難

が主な要因であり、特にメイン火力である風雷撃の不安定さが競技プレイヤーから忌避されてきた原因であると考えます。また主戦場が2間合から3~4間合いへと変化したことも逆風となった要因でしょう。Aライラはアグロ陣風を使うことで最低限ワンショットの火力が出るため、その火力を引き上げずOライラを強化するとなれば風雷撃への耐性付与もしくは火力強化しかありません。

正直なところ、私の改訂案である対応不可(通常札)よりも1-2間合への拡大の方がステップ対応の読みあいが生じるため体験としてはこちらの方が面白く、バランス調整チームの実力を感じます。おみそれしました。

 

Aウツロ:残響装置・枢式

攻撃3-10 2/1が追加、終端化

終焉の影がよみがえる時ライフ6以上ならライフ5に調整

 

赤くなって新登場。地味に3色経験した初めてのカードでは。

 

シーズン3のみんなのトラウマとして有名な青い方の残響装置ですが、付与2が付いた後は速度低下と実質ダストー2が痛く(あとなぜかライフ1が消える「何かおかしかった」効果がなくなった)、1ターン終焉が遅くなることもあってリワーク前の破滅(Hex:Ruin)並みに遅延するようになりました(唐突なDBD)。

Aウツロの攻撃札である蝕みの塵でライフダメージが取れなかったこともありAウツロはOウツロに比べさらにライフ火力が苦しくなり、環境の高速化に置いて行かれた存在となっていました。

 

今回の改訂により終焉の影がよみがえるタイミングが行動札時代のそれに近くなり、ライフダメ―ジ1の代わりに終端2/1が追加されました。3-10になってるのは昔のアトラクト残響装置の反省を感じてすき。道中でとりあえず消費2の攻撃札として振っとくとダスト2かライフ1を獲得できるため、ウツロのライフダメージを補いつつ、付与の時代に比べ格段に使いやすくなったものと思われます。

ライフ上限が5に引き下がったため、現環境の火力に耐えられるかは未知数ですが、シスイの台頭によりフレアを以前より溜めないプレイングが主流となっているため、切り札火力が相対的に下がっており、終焉来タレの連打による詰めが通用する場面はそれなりにあるのではないかと考えています。

 

最近使ってなさすぎたせいでふわふわした評価になってます。

遺灰呪は直接金融の下位互換とか言ってウツロちゃんごめんなさい。

 

カナヱ:たまゆらふみ

構想準備時の集中力コストが不要に

未使用に戻る時相手の集中力+1

 

わたしは仮面を数える程度しか使ってないですが、基本的にはたまゆらふみ(ナーフ後)は採用する切札ではなく、構想準備には脚本化か全力化断行を使うものだと仮面使いの方々に教わってきました。そのため脚本化が0/0に変更されたS8は仮面はまったくと言っていいほど鳴りを潜めてしまい、面剣とか検討してても構想を立てるリソ損がけっこう厳しいとは感じてました。その点では自分のコストではなく相手へのメリットという形で解決するのはカナヱを適正な範囲にとどめながら構想の運用を容易にするよい改定案であると思います。

Bakafire氏が「カナヱは相手を英雄と見立て物語を進めるが故に相手を強大にする」というフレーバーを述べており、これはうまいデザインだと感じました。カナヱはデザイン面では成功した挑戦であり(研究が進むにつれバランス面の問題は明らかになりましたが)、デジタル格闘ゲームではありえない体験を与えてくれる秀でたメガミです。強みと脆弱性のバランスが取れた良いメガミになるか、環境での検討を楽しみにしています。

 

カムヰ:散華刃

2/1に弱化 禁忌+1で3/1 禁忌+1で相オーラ→自オーラ

 

さすがに許されなくなってきたか。

 

散華刃は「血飛沫と合わせて使ったらなんか2リソ付いてくるめっちゃ強い斬」であり、クロックとして最も信頼できるカードでした。例えるならば、シンラに完全論破されて一番辛いカードであり、紅刃のおかげで素通りする実質-/1でした。ゲージなしでも斬なので抜く理由が全くなく、カムヰの強さの根幹となるカードです。

S8のカムヰが活躍した要因としては、鋸の登場によって3柱単位で強力なコントロールデッキを組むことが難しくなり、その結果として環境がビート一辺倒となり、ビートに強く、斬り払いとカタシロという汎用的な防御力を備えていた点で剣がトップメタに躍り出ました。つまるところ、脆弱性が十分ではなかったため、環境に対してあまりに万能であったのです。

 

今回の改訂により安定したライフクロックを刻むことが難しくなり、対コントロール、レンジロックへの脆弱性が大きくなりました。以前の散華刃と比べゲージ消費量は1から1・5程度になり、雑にゲージ上げで撃つという判断は難しくなりました。しかし最大出力にほぼ変わりはないため、ゲージの心配が乏しいビートダウン対面ではほぼ以前と同様に運用することができ、ビートダウンに対する強みというカムヰのテイストを殺さずに脆弱性を大きくする改訂になるでしょう。

 

カムヰ:理

間合→ダストを3回まで行ってよい

自ライフ≧8なら禁忌+1、自オーラ→自ライフ

 

ハガネちゃん絶対殺すマンでおなじみ、理はついに行動切札への制限効果を失いました。確かに理は行動切札を軸としているメガミをこれ1枚で制圧する性能があり、ハガネやクルルといったコンボ系のメガミ、行動/対応の切札を防御の軸とするメガミを環境から締め出していたように感じます。灯やハカミチが弱化されてからカムヰの切札枠には余裕があったことも要因の一つだと思います(登場当初は灯以外の3枚全部入れとけで良かったんですよ)

理の効果は非常に強力ですが、個人的にはカムヰの強さとして「対ビート能力の高さ」「時間制限がある中での万能性」があると思っていたためカムヰの強さとして許されている強さだと思っていましたが、これ自体は禁忌ゲージを増やさないという点はやはり問題だったのでしょう。今回の改訂でライフ回復のもとがダストからオーラに変更になり、禁忌ゲージも上がるようになりました。散華刃の改訂と合わせると禁忌ゲージの運用は極めてシビアになり、コントロールによる禁忌死もわりと現実的なレベルになってきました。

 

以前の禁止改訂でBakafire氏が述べていた通り、カムヰは本来脆弱なメガミです。私は全国でカムヰを採用して戦いましたが、それは上述した通り環境にある種の偏りが生じていたためであり、もはやカムヰは自己完結して戦えるメガミではなくなっています。そのため、今後環境で剣の数は減っていくと思いますが、カムヰは環境が高速化すれば禁忌ゲージの余裕が増え、強みを増すため、ゲームを破壊するレベルのインフレーションの抑制、およびコントロールデッキの増加という、ふるよにという生態系を支える上で重要な役割を今後ともになっていくものだろうと思います。その役割を踏まえるならば、この改訂はそれに即したものであると評価できます。

 

 

今回でカード更新評価は終わりにするつもりでしたが、あまりにも長くなったため、泣きの最終回に突入しとうございます。読まれる方も大変でしょうが、お付き合いいただければ幸いです。